置賜ワカテアーティスト:原田聖(洋画家)

置賜ワカテアーティスト:原田聖(洋画家)

Artist No.1:原田聖


置賜ワカテアーティスト・No.1〜洋画家 原田聖〜



Q1:この道を目指したキッカケは何ですか?

A1:今は自分がアーティストという自覚は低いですが、私がこの道を目指したきっかけは幼少の頃にあります。幼稚園で配られたクレヲンで画用紙に“輪”を延々と描いていたのが一番古い私のきっかけです。始めは真っ白な画面に恐怖を感じていましたが、恐る恐る手を動かしているうちに夢中になって輪を描いていました。幼心にこのクレヲンを握り締め一心不乱に輪を描くという行為自体が楽しかったんだと思います。これが絵を描く喜びに目覚めこの道を目指したきっかけです。





Q2:ご自分の作品の特徴や制作するうえでのこだわり・ポイントなど教えて頂けますか?

A2:私は絵の具を盛り上げ作ることの出来る半立体的な表現に魅了を感じています。絵の具を盛り上げ作り出されるマチエール(美術用語:作品の材料や材質、素材を意味するフランス語。転じて、衣服や金属などの描かれた対象に固有の物質的な材質感を指すこともある。また、絵画や彫刻作品そのものの表面の質感を指して使われる場合もある。)は観る者に迫り来るような力強さとインパクトを与えます。この特長を活かし迫力や勢いのある作品を制作しています。また、私は制作する上で「五感を使って作る」ということを大切にしています。それは何かを伝えるためには“自分自身が制作している時からリアリティーを感じていなければ観る人には伝わらない”と考えているからです。私の作品は抽象的な表現の作品が多いので実際にあるものをそっくりそのまま写真のように描くということが殆どありません。なので目や耳や鼻や口を手がかりに、自分自身で実際に感じ取り体感することを大切にしています。


Q3:マチエール(素材)は何を使っているのですか?

A3:私は大学時代から布を用いて制作しています。布の作るドレイプ(ヒダ)や質感の変化に注目して使ってきました。布の種類や絵の具との組み合わせ方で様々な表情を作り出すことが出来ます。また、私自身、意図せず偶然に美しい形が出来ることがあるので気に入っている素材です。最近は、絵の表情を変えるために角材や自然物(土や植物の葉)なども扱っています。布だけではなく色んな素材を加えることで表現の幅を増やしたいと思い実験を繰り返している最中です。今までは油絵の具を主体にしてきましたが今後は油絵の具にとらわれず色んな画材を使っていきたいと思っています。






Q4:創作活動をしていて良かった事や苦労した事はありますか?

A4:制作中は楽しいですが、構想段階に時間が掛かり一番苦労します。私は作品のイメージを固めるまでに絵を描いているのと同等以上の時間を掛けてしまいます。もともと自分で描きたくて作り始めるので矛盾していますが、描き始めは本当に苦痛で大変です。
良いことは、自分の思いが伝わる時です。以前、東京で行った展示会の会場で見知らぬおじさんに突然「君の中には野獣が棲んでるね」と言われたことがありました。言われた瞬間は唐突だったので困惑しましたが、後でゆっくり考えるとそれは私が作品に込めた力強さや躍動感といった思いの一端が伝わったのではないかと、驚きと共に嬉しさが込み上げてきました。
私の作品の多くは、抽象的な表現が多いので鑑賞者の多くは「なんだかよく分からない」という反応ばかりです。そんな中で自分の込めた思いや感覚が伝わった瞬間は何物にも代え難い気持ちになります。例えば、100人の鑑賞者の中でたった1人だけにしか伝わらなくても、私はその一人のために作品を作り続けていきたいと思います。




Q5:今後、どのような作品を制作したり、創作活動を通してどのような事を伝えていきたいかなど、ご自身の目標や展望などを教えて下さい。

A5:今は、作り続けることが目標です。この道を志す人は多いですが社会に出ると様々な理由で続けられない人ばかりです。学生時代は純粋に作り発表することだけが求められますが社会に出ることで制作以外に求められることも出てくるのだろうと思います。そんな中で私は他の人より長く制作する機会を与えられ、今も制作できる
環境にいます。この環境に感謝し自分に出来る限りのことをやっていこうと思っています。創作活動に関しては、その時感じたことを素直に表現していきたいと思っています。他人から見ると一貫性がないように思われそうですが、今大切にしている“五感を使って作ること”“自分自身が制作している時からリアリティーを感じて作ること”を守って作り続けていきたいと思います。最後に今私はstudioこぐまという団体に所属し、廃校でワークショップや制作をしています。その中で色々な人たちと関わる機会があります。ここで出会う人との時間を大切にさらに飛躍できるように頑張っていきたいです。


          


 原田聖 −略歴 −

 1986年−北海道生まれ
 2009年−東北芸術工科大学芸術学部美術科洋画コース卒業
 2011年−東北芸術工科大学大学院芸術工学研究科修士課程修了
 現  在−studioこぐま在籍


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