【小国町】沖小歌舞伎

 沖小歌舞伎【小国町】


 沖小歌舞伎は、小国町の古田地区に伝わる「古田歌舞伎」を子どもたちに学んでもらおうと、小国町教育委員会の提案で、小国町立沖庭小学校の体験学習として誕生しました。郷土“古田”に受け継がれる心と技の伝統芸能、地元の皆さんが一丸となっての公演です。

■沖小歌舞伎とは

 沖小歌舞伎は、小国町の古田地区に伝わる地元の伝統芸能「古田歌舞伎」を学ぶために、小国町立沖庭小学校の子どもたちが取り組んでいる体験学習です。

演目「白浪五人男」より
 古田歌舞伎保存会の師匠方と6年生の指導のもと、5年生を中心に年間70時間以上の練習を重ね、10月末の沖小・古田歌舞伎合同公演を行います。
 これまで、地元の人たちや保護者などの地区の住民が協力して歌舞伎の舞台づくりを支え、一緒に公演を作り上げてきました。
 しかし、少子化の影響により小国町内9校の小学校のうち6校がすでに閉校し、沖庭小学校も平成25年度限りで54年間の歴史に幕を閉じます。26年間続いてきた沖小歌舞伎は、今年度で最終公演となるそうです。平成25年10月26日(土)の最終公演では、1年生を含めた全校児童22名が舞台に立ちました。

■沖小歌舞伎のあゆみ

 古田歌舞伎は、江戸時代末期、歌舞伎役者の「尾上竹三郎」が、古田地区の人々に歌舞伎を指導したのが始まりといわれる農民芸能です。
 昭和33年を最後に一旦途絶えたものの、昭和61年に住民らの手で「古田歌舞伎」復興公演が行われ、その後町の無形民俗文化財に指定されました。

演目「白浪五人男」より
 沖小歌舞伎はその2年後に、沖庭小学校の体験学習の一環として始まりました。以後、古田歌舞伎保存会メンバーから指導を受け、演技を学び、毎年古田歌舞伎と沖小歌舞伎が合同で公演を行ってきました。

 沖小歌舞伎の特徴は、地域の協力のもと、学校カリキュラムに歌舞伎が組み入れられていることです。古田歌舞伎保存会メンバーの指導のもと、例年は6年生が5年生に教え、5年生を中心に練習を行い、10月の本番に備えてきました。しかし、少子化は急激に進み、平成24年度からは人数が足りず、3年生以上の出演となりました。

化粧を施すのは保護者の役目
(写真提供:宇佐美卓哉さん)
 閉校の年となる平成25年度は、全校児童22名の出演となりました。総合学習の時間を利用して、4月から基本的な練習を始め、9月からは古田歌舞伎保存会の尾上昇十郎(本名・斎藤昇平)会長らが講師となり、本格的な練習を毎日放課後に行ってきました。9月、10月の毎週金曜日は夜遅くまで練習に励んでいたといいます。また、保護者を対象に、化粧や着付けの講習会も開いてきました。


 公演前に、子どもたちに化粧を施すのは保護者の役目となります。
 木村功教頭先生は、「眉の書き方ひとつにしても、失敗してしまったら一度全ての化粧を落とし、また一から塗り直さなければならず、慎重に行わなければなりません。」と話していました。


■第26回「沖小歌舞伎」最終公演

指導者に感謝の意を伝える校長
■沖小歌舞伎
演目:「白浪五人男〜稲瀬川勢揃いの場〜」
   「絵本太功記 九段目〜山崎合戦の場〜」
■古田歌舞伎定期公演
演目:「弁天娘女男白浪〜濱松屋見世先の場〜」

 保護者、地元住民、卒業生ら約350人が集まった体育館で、26年間指導してきた「古田歌舞伎保存会」メンバーに対して、小杉慶子校長先生から表彰状が贈呈されました。


公演前の舞台袖の様子


 「白波五人男」公演前の舞台袖です。
 南郷力丸役の4年生の男子児童は、「教頭先生から迫力がでるように、といわれたので、迫力と声を出すように頑張りたいです。」と意気込みを話してくれました。



■白浪五人男〜稲瀬川勢揃いの場〜


 この「白浪五人男」の正式名は、「青砥稿花紅彩画 稲瀬川勢揃いの場(あおとぞうしはなのにしきえ いなせがわせいぞろいのば)」です。

花道から登場の場面
 花道から、一人一人違った模様が入ったおそろいの紫の衣装と傘といういでたちで登場します。 錦絵のような見た目の美しさも一つの見所です。

見得を切る場面
 舞台に移った5人は七五調のリズミカルな調子で一人一人名乗りを上げ、見得を切ります。 ここがこの演目の最高の見せ場です。

  大声で名乗りを上げる児童は美しく、勇ましく、それぞれの役柄を堂々と演じ切りました。



■絵本太功記 九段目〜山崎合戦の場〜


 「絵本太功記」は全13段からなり、主役の武智光秀が主君の小田春長を本能寺にて滅ぼし、その仇を討たんとする眞柴久吉と戦って敗れて逃れる途中、小栗栖村の土民の竹槍に突かれ最期を遂げるまでの13日間を物語にまとめています。

■最終公演を終えて

演目「絵本太功記」より
 沖庭小学校の児童は、上級生が演じる沖小歌舞伎を見て育ち、誰もが主役を演じたいと憧れを抱いているといいます。
 「白浪五人男」と「絵本太功記」の2演目では、セリフを与えられる役は限られています。春から希望を取り、オーディションで役を決めていきます。役を与えられてからは、1学期は総合学習の時間でセリフ覚え、2学期は放課後に、ステージと花道を使用し、セリフに合わせ、動きを猛練習してきたといいます。

 古田歌舞伎保存会副会長の安部幹雄さんは、「児童はみな、閉校と最終公演の意味を深く理解しており、気合いや気持ちが演技の中に見えていた。児童の思いと緊張感が観客に伝わり、最終公演にふさわしいキレのある演技になった。」と話していました。

公演を終えた全校児童22名
 その後、沖小歌舞伎は、平成25年11月30日(土)の「置賜こども芸術祭2013」に出演し、幕を閉じました。
 沖庭小学校の学区の少子化が進み、児童は来年度から小国小学校に通うことになるため、これまでと同じように保存会の指導を受けながら、歌舞伎を続けることは難しくなります。

 本年度の公演で沖小歌舞伎は幕を閉じますが、小国町の古田地区に歌舞伎が伝わっている限り、演じる機会はあるのではないかと思います。伝統ある沖小歌舞伎を残す方途はないものかと思わずにはいられません。


 平成25年度 活動日程


第26回「沖小歌舞伎」その1 演目:白浪五人男
平成25年10月26日(土) 場所:小国町立沖庭小学校(小国町)

第26回「沖小歌舞伎」その2 演目:絵本太功記
平成25年10月26日(土) 場所:小国町立沖庭小学校(小国町)

第26回「沖小歌舞伎」その3 最終公演を終えて
平成25年10月26日(土) 場所:小国町立沖庭小学校(小国町)



〇取材協力    小国町立沖庭小学校(小杉慶子校長)
         古田歌舞伎保存会(斉藤昇平会長)

〇取材・執筆編集 置賜文化フォーラム編集員 佐藤道代


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