【川西町】小松豊年獅子踊

 小松豊年獅子踊【川西町】


 小松豊年獅子踊は、毎年8月16日に大光院、8月27日に諏訪神社で奉納されている川西町小松地区に伝わる郷土芸能です。五穀豊饒を祈願して踊るもので、県指定無形民俗文化財に指定されています。後継者養成のために、川西町立川西中学校の生徒による獅子踊が行われています。

■小松豊年獅子踊とは

 小松豊年獅子踊は、平安時代に起源を持つとされる郷土芸能です。毎年8月16日と8月27日の2日、五穀豊穣のまといを先頭にして、町内を笛と太鼓でねり歩き、町内要所で踊ります。盆の16日には、大光院に登って踊り、27日の諏訪神社の祭礼では社殿前で踊ります。


小松豊年獅子踊の火の輪くぐり
 小松豊年獅子踊の由来として、平安時代の初めにこの地にやってきた法相宗の高僧「徳一上人」を慰めるために、この地の里人が踊ったことが始まりとされています。
 以来、上小松の若者たちによって伝承され、寺院「大光院」の盆行事の一つとして定着したこの踊りは、江戸時代には豊作の年のみ踊ることを許されたため、「豊年獅子踊」と呼ばれるようになりました。
 戦時中は一時途絶えたものの、文化遺産としての重要性が再認識され、昭和24年に復活し、昭和55年に県の無形民俗文化財に指定されました。

 踊りは、花に酔い火に狂う三匹の獅子の躍動の中に、農作業のしぐさが織り込まれており、花笠、早乙女の太鼓に、笛と唄が流麗な調べをかさねます。

 この獅子踊を紹介するパンフレットやホームページで取り上げられるのが、火の輪くぐりの場面です。 主要演目として「前の庭」「中の庭」「末の庭」があり、火の輪くぐりの場面は「中の庭」で見ることができます。

■川西町立川西中学校と小松豊年獅子踊


川西町立川西中学校による獅子踊
 小松豊年獅子踊の伝承活動として、川西町立川西中学校の生徒たちによる獅子踊の取り組みがあります。昭和47年ごろ、後継者育成のために、当時の川西町立新山中学校に「郷土芸能クラブ」がつくられ、夏休み中に生徒たちが獅子踊の練習に取り組んできました。
 時を経て、中学校の名前が川西町立川西中学校と変わった現在も、「郷土芸能クラブ」は継続されており、子どもたちは獅子踊に取り組んでいます。

 中学生の踊の披露は、毎年8月16日に行われており、発表に向けて多くの生徒が参加しています。

■平成25年度 小松豊年獅子踊披露

 8月16日、川西町立川西中学校「郷土芸能クラブ」の生徒による小松豊年獅子踊が披露されました。平成25年度は19名の生徒が参加し、町内各会場を巡演しました。

◆川西町立川西中学校による小松豊年獅子踊
日時:平成25年8月16日(金)
場所:川西町小松地区内各会場


川西町立川西中学校「郷土芸能クラブ」による獅子踊

 獅子頭はすべて黒色で、また衣装は紺色が牡獅子(おじし)、橙色が牝獅子(めじし)、黄色が供獅子(ともじし)となっています。
 それを取り囲むように、太鼓を持つ仲立(なかだち)、色鮮やかな衣装に身を包み花笠をかぶった花笠(はながさ)、早乙女(さおとめ)、まとい持ちがいます。
 笛や太鼓の音に合わせて、獅子たちの花に酔い、火に狂う様子を表わした踊りを披露します。前、中、末の3庭の演目すべてを披露すると50分ほどかかるため、普段は「中の庭」のみを披露しているそうです。


獅子踊の様子

 この獅子踊は、10人で踊ります。獅子3名、仲立1名、花笠2名、早乙女4名です。
 今年は19名の参加生徒がおり、中学3年生を優先して踊りに参加する生徒を決めています。
 当日の発表に参加しない生徒も練習に参加し、翌年の発表に向けて練習を積み重ねています。


■小松豊年獅子踊を支える人々


小松豊年獅子踊り会のみなさん
 小松豊年獅子踊は「小松豊年獅子踊り会」と「小松豊年獅子踊保存会」を中心として、伝承・保存活動を行っています。
 中学生への指導は、「小松豊年獅子踊り会」のみなさんがあたっており、当日の歌や笛を担当しています。
 踊り会の方々は、自身も中学生の頃は獅子踊に参加し、現在は立派な継承者として、地域の獅子踊を守り続けています。


 小松豊年獅子踊り会会長の原田正明さんは、「小松豊年獅子踊は、若い世代の活躍が必要となってきます。若さがないと体が動かないし、火の輪くぐりもできません。毎年中学生が参加することによって、後継者育成となり、それに加え中学生の父兄の皆さんも興味を持ってくれて、沢山の人に小松豊年獅子踊を見ていただける機会となるので、獅子踊の発展にも繋がると思っています。中学生に指導するようになってからは、昔からの伝統だから途絶えさせてはいけないという使命感もあります。その年によって参加生徒の多い、少ないはありますが、郷土芸能クラブは続けていきたいですし、できるだけ多くの生徒に集まってもらいたい。」と話してくれました。

■取材を終えて

 中学生の披露は、大人顔負けの堂々とした素晴らしい獅子踊でした。それを担う中学生は向上心を持ち、目標を高く掲げているのだと感じることができました。
 参加している中学生はみな、地域を愛し地域の人々が守り続けてきた“獅子踊”に特別な思いを抱き、参加しています。この獅子踊の経験を大切にしながら、次の世代へと伝承し守り続けて欲しいと思います。


 平成25年度 小松豊年獅子踊 祭事日程

「小松豊年獅子踊」披露
平成25年8月16日(金) 場所:川西町小松地区【川西町】

「小松豊年獅子踊」練習風景
平成25年8月12日(月) 場所:川西町小松地区公民館【川西町】

「小松豊年獅子踊」インタビュー



〇取材協力     小松豊年獅子踊り会(原田正明会長)
          川西市立川西中学校「郷土芸能クラブ」のみなさん
          川西町中央公民館

〇取材・執筆編集  置賜文化フォーラム編集員 佐藤道代


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