中獅子踊り【飯豊町】 |
飯豊町指定無形民俗文化財の中獅子踊りは、毎年お盆に、この秋の豊作と健康を願いながら地域の方々によって踊られています。現在は飯豊町中地区の小中学生が多く参加し、活気ある獅子踊りが受け継がれています。
■中獅子踊りとは
中獅子踊りの獅子頭 |
おはやし、長唄衆の唄に合わせて雌獅子、雄獅子、友獅子、三匹による花吸いの踊り、三角踊り、そしてメインは輪くぐりです。
まといを先頭にして、中地区周辺を笛と太鼓とともにねり歩き、各公民館前で踊ります。
昭和51年9月13日に、飯豊町の無形民俗文化財に指定されました。
そもそもの起源は明確ではありませんが、今から600〜700年前と言われており、現在の中獅子踊りは、明治時代からはあったといわれています。現在の用具は昭和33年に新調されているので、それ以前から踊られていたようです。
■平成25年度「中獅子踊り」
8月14日に、「中獅子踊り」が飯豊町中地区の公民館前や広場などで行われました。伝統ある中獅子踊りは、中獅子踊り保存会の方々によって披露され、メンバーは大人23名、子ども18名、合計で41名が在籍しています。今年から新たに参加する小中学生もあり、活気ある中獅子踊りとなりました。
◆中獅子踊り
日時:平成25年8月14日(水)
巡演順番:飯豊町中地区 公民館前
(沖公民館前→新田自治館前→中西公民館前→中北公民館前→中公民館前)
雄獅子が踊る
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雌獅子を中心にして、雄獅子と友獅子が守っている形で踊り、服装は雄獅子と友獅子は同じですが、獅子頭はそれぞれ異なります。獅子役は男の子で、身長が低ければ低いほど良いとされています。中獅子踊りに参加する子どもは、初めはこちらの獅子役から始めます。
“花吸いの踊り“獅子と花吸いの共演 |
中獅子踊りは、「前唄(まえうた)」「長唄(ながうた)」と呼ばれる歌を歌いながら踊ります。
中獅子踊り保存会の大人の方が歌い、それに合わせて子どもたちが獅子役、太鼓役となって踊ります。
雌獅子狂い”輪くぐり” |
中獅子踊りのメインとなる“輪くぐり”です。“輪くぐり”は雌獅子狂いとも呼ばれ、輪の中をくぐります。
本来、獅子(獣)は火を恐れますが、怖いものに立ち向かっていく姿勢を表しているとされています。炎を模した輪を使いますが、火をつけての“火の輪くぐり”を行った年もあったそうです。
夜の中獅子踊り |
日が暮れてからの中獅子踊りも風情があります。各公民館前を巡演し、夜の部は中北公民館前、中公民館前で踊ります。
灯りに照らされ、踊る姿は勇敢で美しいです。
中獅子踊りのまとい |
山形県の獅子踊りの特徴のひとつに、このまといがあげられますが、山形県以外の地域にはみられない特徴だそうです。
現代社会における生活様式の変化や少子高齢化による担い手不足など、獅子踊りの存続が難しくなってきたといわれています。
その昔には、飯豊町内に数々の獅子踊りの組織がありましたが、今では中獅子踊り保存会だけとなっているそうです。
中獅子踊り保存会の舟山新二郎さんは、「中獅子踊りは、平成19年に存続できるかできないかの危機が訪れました。それまでの中獅子踊りは大人を中心として行ってきたものでしたが、存続の危機の際に、中地区の子どもたちにも参加してもらうことによって、なんとか存続できることができました。現在は、18名の子どもたちの参加があるので、人数も多く、毎年獅子踊りができています。この先も続けていきたいです。」と話してくれました。
平成25年度 中獅子踊り 祭事日程 |
中獅子踊り
平成25年8月14日(水)場所:飯豊町中地区 公民館前
中獅子踊り「練習風景」その1
平成25年8月5日(月) 場所:飯豊町中地区 中公民館
中獅子踊り「練習風景」その2
平成25年8月9日(金) 場所:飯豊町中地区 中公民館
〇取材協力 中獅子踊り保存会(舟山新二郎会長)
〇写真提供 中獅子踊り保存会
〇取材・執筆編集 置賜文化フォーラム編集員 佐藤道代
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